PHOTO OLD LENS

SHOOTING REVIEW

MD Rokkor 50mm F1.4での写真

SONY α7II , Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 , 1/1000 , ISO200 , Photo by Azami Miyayuki

Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 後期モデル

標準 単焦点レンズ

1970年代の終わり頃に発売されたレンズです。1970年代末期といえば、コンパクトカメラではオートフォーカスが出始めた頃でAFはまだあまり一般的ではないものの、 数年後の1985年にはαショックを引き起こしたα7000が発売されます。MF時代としてはそろそろ終盤だったと言ってもいいでしょう。 それはさておき、このレンズにはフィルター径が55mmだった前期モデルが存在していました。後期モデルなる際に小型化に伴ってフィルター径は49mmに変更されています。 前期モデルは絞った際に非常に優れた解像度を持つ解像度特化のレンズでしたが、後期モデルは時代がカールツァイス T*プラナーなどのコントラスト重視が流行してきたこともあり、 時代に合わせてコントラストを重視した構成に変更されています。

さて、そんな話を挙げたのも筆者が両方のモデルを持っているからです。色々撮り比べてみたところ、確かにそのような傾向を感じ取ることができました。 前期モデルはある程度絞ったところで、急速に鮮鋭度が増してくるのに対し、後期モデルは開放からコントラストが高めで、1段絞っただけで周辺減光も大きく減り全体的に整った写りになります。 どちらものレンズもF5.6ぐらいまで絞ると、非常に優れた解像度で、フルサイズ2400万画素のα7やα7IIでもその解像度を表現しきれたとは言えません。 そして、豊かな発色で現代のレンズとくらべても遜色ない色を写し出してくれます。 でも、「オールドならではの味わいを感じたい」という気持ちにももちろん応えてくれるのが、このレンズのいいところです。 開放での周辺減光と独特の色は現代のレンズでは表現しづらい、まさにオールドレンズという写りをしてくれるのです。 これから、オールドレンズを始めるあなたにおすすめを訊かれたら、私は値段も手頃で抜群な性能のこのレンズをおすすめするでしょう。

( 写真/文: Azami Miyayuki )

MD Rokkor 50mm F1.4での写真

SONY α7II , Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 , 1/320 , ISO200 , Photo by Azami Miyayuki

肉眼でも鮮やかだなぁと思っていた果物が非常に鮮やかに写っています。開放近くなため、微妙な周辺減光が独特の立体感と雰囲気を表現してくれているようです。 ボケの豊かさがフルサイズの単焦点を感じさせてくれます。
非常に綺麗に写りますが、右奥のボケを見ますとコマ収差の様になっています。この辺りのちょっと足りないところがオールドレンズの味わいという感じでしょうか。

MD Rokkor 50mm F1.4での写真

SONY α7II , Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 , 1/60 , ISO200 , Photo by Azami Miyayuki

絞ると、ごく四隅を除いた全域で素晴らしい解像度です。 絞り値をわざわざメモしてないので、概ねその時々に応じて適当に絞っていますが、多分こういうちょっと離れた景色を撮るときはF5.6~F11の間くらいだと思います。 まぁ、最大F16までしか絞れないので、まぁ大体そのぐらいでしょう。
さすがに50mmの標準単焦点レンズだけあって、ズームレンズや広角レンズのように派手に歪曲したりはしません。 もちろん歪曲がゼロかと言われるとイメージサークル外周に近い短辺側は歪みますが、軽微で素直な歪曲なため、このデジタル時代では簡単に補正することができます。 上の写真は全く歪曲補正していませんが、もともと歪んでいるような被写体だと全然気になりません。 補正が必要になる場合って被写体にもよるでしょうが、もしかしたらあまり無いのかもしれません。

MD Rokkor 50mm F1.4での写真

SONY α7II , Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 , 1/400 , ISO200 , Photo by Azami Miyayuki

ボケと解像感を両立したいならF2.8くらいの絞りがオススメです。
適当に撮ってもフルサイズでは奥行きのある写りになります。

MD Rokkor 50mm F1.4での写真

SONY α7II , Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 , 1/1000 , ISO200 , Photo by Azami Miyayuki

気軽なスナップに持って行くにはこのレンズは軽くていいですね。
発色の濃さは色鮮やかなアジアの街角スナップによく合います。

●●●
MD Rokkor 50mm F1.4での写真

現代レンズに対して、オールドレンズとして勝負できるレンズ

今回、α7IIでの撮影でしたが、α7シリーズもとい、Eマウントにはフルサイズ対応でも神レンズと名高いFE55mmF1.8ZA 現代レンズとしてCarl Zeissが出したLOXIA 2/50など素晴らしいレンズがすでにあります。 筆者もFE55mmは所持していますが、確かに開放から安定して使える素晴らしいでレンズです。 しかしながら、甘い描写やゆるい描写はそういう高性能なレンズではなかなか表現しづらいところがあります。 今回ご紹介したMD Rokkor 50mm F1.4はそんな高性能レンズに対して、あえて高性能ではない部分を持っているというところが最大の強みだと思います。 わざわざ古いレンズを使うということは、それ相応の理由があるからです。 ノスタルジーな雰囲気を楽しみたかったり、純正には無い味を楽しみたかったり、電子部品が無いからいつまでも使えたり。 もちろんそんな真面目な理由でなくてもオールドレンズを楽しむ、もっともらしい理由もあります。
それは性能に対してとても値段が安いこと。 このレンズを筆者はフィルムカメラ付きで5000円以下で購入出来ました。分解整備できる人ならジャンクで1000円以下の値段で買ったりもできます。 もし現在、同等スペックのレンズを買おうと思ったら数万円はします。 ホイと数万円出せるリッチな方ならともかく一般の方はなかなか数万円するレンズはホイホイ買えません。 でも、せっかくレンズ交換式カメラを買ったのにキットレンズしか使っていない、なんて勿体無いと思いませんか。 そんなときオールドレンズなら一回飲みに行くような値段でホイホイと買えます。 もちろん、中古になるわけですから、レンズの良し悪しを見抜く知識と経験は必要になってくるでしょう。 でも最初は適当でいいと思いますよ。安い中古を買い揃えていくうちに覚えていきます。 まずはおひとつ買ってみるところから始めましょう。その一個にこのレンズはなかなか合うんじゃないかと思います。