Minolta | MC W.Rokkor-SI 24mm F2.8
広角 単焦点レンズ
ミノルタは一時期ライカと提携していた時期があり、このレンズもライカのELMARIT-R 24mm f2.8と構成が似ていることで兄弟レンズと言われています。 フローティング機構も内蔵していて近距離でもよく写り、広角レンズの割に前後のボケも非常に滑らかです。 発色も良く、独特の透明感のある写真が撮れ、私も割りとお気に入りのレンズです。
筆者の個体はオーバーホール済みのものを中古で購入したものですが、コーティングが薄く、逆光時にきれいなゴーストが出ます。 ゴーストは一般的に無い方が好ましいとされますが作品によってはそれが良い味付けになることがあり、物は使いようだなと感じる次第です。 筆者もゴーストを入れたい広角撮影では積極的にこのレンズを使用します。
ではいくつか作例を交えて紹介しましょう。
( 写真/文: Azami Miyayuki )
日がまだ強い時間での逆光撮影ですが、激しくゴーストが出ています。 ゴーストはむしろ動画撮影などで効果を発揮しやすいですね。 高価なテレビカメラ用のレンズでも割とゴーストは残してあったりしています。 このレンズも少し光源をずらすだけでゴーストの位置や形が大きく変化します。パンニングなどと相性が良いですね。 撮影したのが冬なので、ちょっと下の木が邪魔ですが、夏だとゴーストが出ることで日差しの強さを表現できたりします。
近距離でも描写は落ちることなく、素直なボケで立体感のある写りになります。 広角レンズは寄ってこそ、という考えはあるのですが、なかなか背景の整理がつきにくく難しいですね。
軽量なボディはスナップに向いています。 鳶が横切ったので無限遠でさっと開放で撮りましたが、金星が左に小さく写りました。 手ブレしているもののちゃんと点像になっているようです。
ちなみにこの撮影場所は先程のゴーストのサンプルと同じスポットです。 金沢卯辰山の五本松といえば地元の人で通じる人もいるでしょうか。 卯辰山では結構市内を見渡せる場所がありますが、望湖台、見晴らし台と並び良いビュースポットです。
筆者の得意な画角は50mmと300mmですが、好きな画角は24mm、35mm、85mmも含まれます。 作例を見て分かる通り、筆者は余計なものが入りがちな広角レンズがあまり得意ではありませんが、それでもこのレンズは何かとよく使うレンズです。 独特の風味の発色や、逆光時の強烈なゴーストがなかなかユニークで代えがたいというのもあるのかもしれません。 レンズは表現に用いる道具ですが、「性能の良さばかりが道具ではない」というのをこのレンズやオールドレンズは教えてくれる気がします。